June 30, 2008

世界級ライフスタイルのつくり方

このブログは2003-2004年にINSEAD(仏)でMBA留学をし学んだことをまとめたものですが、現在更新されておりません。
最新ブログ(→『世界級ライフスタイルのつくり方』)で引き続きMBA留学後所感もつづっておりますので、お越しください。


posted at 11:48 AM : |


February 20, 2005

Emerging Country

いつも読んでくださってる方にはとても申し訳ないけれど、『キーワードで解くMBA』を今回で最後にします。

理由は書くネタがつきてきた、とかこういうマジメなネタはやっぱりガラじゃない、ということももちろんあるのですが、一番大きな理由はモスクワ生活が思ってたよりもexcitingで、この街の様子を紹介したい気持ちの方が強くなったことです。

日本を発ってちょうど1ヶ月。去年10月に長期出張を命じられた時は「マリンスポーツ好きで思いっきり夏派な私が何でよりによって極寒の、しかもMiddle of Nowhere、見渡す限り山もなくスキーすらできやしないモスクワに・・・」とだいぶブルーになったものでした。INSEADのロシア人も「ロシア人同士で固まってる」という印象でかろうじて仲良かったのはグループメイトだったTatianaくらい。

日本の友達の反応も一貫していいものはなく、ロシアといえば「寒い、危ない、暗い、何考えてるかわからない」、極めつけはある友人の一言、「ふーーん、心理的に遠いなー」。

ところが、、、来てみるとモスクワは好調な経済に支えられて空前の消費ブーム。街は零下10度でも人で溢れ道路は大渋滞、ホテルやアパートも建設が需要に追いつかない状態。私のINSEAD時代の友達は全員語学堪能で高学歴、高収入の外資系企業に勤めていて景気のいい話ばっかり。高校時代に日本が長期不況に陥り新卒の時から就職氷河期と言われてきた私には経験したことのない高揚した街の雰囲気でした。

今まで出張や留学もアメリカとかカナダとかフランスとか経済がとっくに安定してしまった先進国しか行ったことのない私。"Emerging Market"にいるってこんなに感覚が面白いものなんだなー、と感じています。

もちろんロシア語も「こんにちは」と「ありがとう」に毛が生えたくらいしか話せず、ロシア人友達はごくごく一部のエリート層、高級アパートに運転手付きのExpat暮らしをしている私が見ているモスクワは本当のモスクワのほんの一部でしょう。本当のところは『ロシアの虚像と実像』『モスクワ・レポート』などが正しく伝えています。

そんなわけでモスクワ永住を決意した、、、わけはなく、やっぱり1年くらいでいいけれど、ちょっと(かなり)前向きになったので"Moscow Day & Night"というPhotoblog始めました。今度は毎週末私をいろいろなところに連れてってくれるロシア人の友達にも読めるように英語です。ぜひ引き続き読んで感想もらえると嬉しいです。


posted at 11:16 AM : |


February 18, 2005

Devil's Advocate

私の毎日のお仕事は4-8人くらいのロシア人のクライアントとDiscussionをすることなのだが、初めは彼らがおとなしく、ちっとも議論にならないので驚いた。欧米の会社と比べると、伝統的に「命令→実行」という思考で働いている彼らには"brainstorming"という概念が馴染まないのか、と結構頭を悩ませたもの。プラスどちらかというと人見知りする国民性(ラテンな人たちに比べて、だが)も影響しているのだろう。

そこに途中からアメリカ滞在歴が長く10年ぶりくらいにロシアに帰ってきた人が新しく雇われてチームに入ってきた。デカイ声、デカイ態度、人の話をさえぎる、聞いてない、いちいち質問・コメントするのでちっとも話が前に進まない。私はINSEAD留学前、アメリカ担当でこの手のアメリカ人に本当に辟易していたので、「またか・・・」とブルーになっていた。でもそんな彼が参加して1週間、彼はDevil's Advocateをしているのだ、と気づいた。

Devil's Advocateは直訳すると「悪魔の代弁者」、意味は故意に反対の立場を取る人のことで、アメリカではディベートの授業などで議論を活性化させるためにわざわざDevil's Advocate役を決めてあげ足取りをさせることがある。INSEADでもたしかOrganizational Behaviorのクラスで議論を活性化するツールのひとつとして習った。

プレゼンをしたりDiscussionのモデレーターをしている私にとっては初めはうっとおしくてたまらなかったが、最近Discussionっぽくなってきたのである。彼も別に本気で反対しようとしているわけではなく、彼が指摘or質問し私が説明することで一方的に話しているだけでは出てこない論点も洗い出されてきた。「あうんの呼吸」や「事前の根回し」「飲みニュケーション」とは対極にあるこのやり方、文化の違いだなー、と思います。


posted at 3:22 AM : |


February 17, 2005

Due Diligence

INSEAD時代の私のHousemateでフランス人、元Private EquityのJean-Christopheが連発していた言葉。

英語を直訳すると「不断の努力」「相当の入念さ」といった意味だけど、専門用語で「資産評価手続き」のことを指し、物件や企業の買収を行なう際に、その資産価値や収益力、リスクを詳細に調査することをいう。調査項目は対象不動産の「物的調査」、権利関係・契約関係の「法律的調査」、立地条件や取引事例等の「マーケット調査」、収支実績や税金等の「財務的調査」等にな る。

私のHousemateの場合は買収対象企業の精査をするのが仕事のアナリストだったため、Due Diligenceを行うのが仕事だったわけだが、意味を拡大させて(ジョークで)「あの女の子のDue Diligenceの結果・・・」などと使っていた。


posted at 6:39 PM : |


February 16, 2005

Option

株やってる人、けっこういると思うのですが、オプション取引やってる個人ってどれくらいいるんでしょう???
INSEADに行く前、私は「デリバティブ」の意味も「オプション」の意味もよく知らなかった。今も人に解説できるほどでは全然ないんだけど、復習も兼ねてとりあえず基本だけトライ。

オプション取引とは一定期間内に、一定量の金融資産をあらかじめ決められた価格で買う権利、あるいは売る権利を売買する取引のこと。ここで重要なのは「権利」であり「義務」ではないということ。買う権利をCall Option、売る権利をPut Optionと呼ぶ。そして買うことを"Long"、売ることを"Short"と呼ぶ。何で???って聞かれてもわからない。覚えるしかない。

金融資産のことを"Underlying Asset"、あらかじめ決められた価格のことを"Strike Price"、期限のことを"Maturity"、オプションを買ったり売ったりするときにかかるコストのことを"Premium"と呼ぶ。

例えばBPの株 100株を3ヶ月後に6ポンドで買えるオプションを0.5ポンドで買ったとしよう。この場合のProfit Payoffは下の図のようになる。
Profit from bought call option: option price £0.50, strike price £6.00

3ヶ月後株価が6ポンドより低ければ時価で買えばいいわけでこのオプションの権利を行使する意味がないので、オプションは紙くずに。損はオプション購入価格の0.5ポンド。もし株価が6ポンドより高ければ6ポンドで買ってすぐ売れば得をするので利益は"その時の株価-オプション購入価格"となる。

次にPut Optionの例。同じようにBPの株を100株、3ヶ月後に6ポンドで売るオプションを0.3ポンドで買ったとする。
Profit from bought put option: option price £0.30, strike price £6.00

3ヶ月後株価が6ポンドを下回っていれば100株時価で購入しすぐにオプションを行使して6ポンドで売ればいいので、利益は"6-その時の株価-オプション購入価格"。6ポンドを上回っていれば6ポンドで売れる権利を持っていても何の意味もないのでオプションは行使せず損はオプション購入価格の0.3ポンドのみ。

とりあえず、ものすごーく基本的なところだけ解説してみました。
現在日本では、日経平均オプション、日経300オプション、TOPIXオプション、オプション25などがあり、それぞれの株価インデックスに連動している。


posted at 7:17 AM : |


February 15, 2005

Social Network

規模の大小こそあれどんな会社にも「組織」というものがあって組織を表した組織表があると思うけど、実際どのくらいの情報が組織表の階層の通りに流れてるんだろうか? 10月8日のBlogで取り上げた"Congruence Approach"の"Structure"がオフィシャルな組織にあたり、10月7日で取り上げた"Linking"が今回のキーワード"Social Network"にあたる。

Social Networkの分析とは人々の間の(通常は)見えない線・関係を解くことにある。実際に"Corporate Renewal & Entrepreneurship"のクラスでは次のような指標を使って考えてみた。
Activity・・・Susanは6人とdirect linkを持っている"connector"である。
Betweenness・・・Claudiaは3人としかlinkがないが違うグループを結びつける唯一の存在として重要である。
Closeness・・・SarahとStevenは誰に対しても3 link以内のポジションにあるので全体として何が起こっているか見渡すのに最適である。

クラスでは自分のSocial Networkを使うと何人で米ブッシュ大統領にたどりつけるか、という質問もあった。この場合は"International Polytical Analysis"の教授だったPhilip Gordonがクリントン大統領の外交政策アドバイザーをしていたので、わずか1人だったが・・・

このSocial Networkをいかしたインターネット上のサービスが最近人気。日本ではmixiGreeなどが代表的なところ。INSEADではみなLinkedInを使っていて、私のHousemateだったカナダ人のZennonはLinkedIn上で知った人(何と間に8人!つまりほとんど赤の他人)に自分からコンタクトをしてIntel Chinaの仕事をGETしました。自分のSocial Networkを充実させることは今後のテーマでもあります。


posted at 9:35 AM : |


February 14, 2005

Brand Portfolio

Forbes誌によると世界中のどの都市よりもモスクワにはBillionaire(億万長者)が多いらしい。急増するニュー・リッチ層とともに急成長しているのが外食産業。どこの国でもそうであるように経済成長により豊かに、でもより忙しくなった人々は家で料理をするより外で食べることを好むようになった。

私のモスクワの友人たちは間違いなくPost Communismのニュー・リッチ層。モスクワでは東京やパリのように「適当にそのへんのレストランに入ってもひどいハズレはない」というレベルにはまだ程遠く適当に入るとハズレてばっかりなのだが、友人と一緒に行くところは例外なくおいしい(まあアタリにしか連れていかないのだから当たり前だが。もちろん値段もそれなりに高い)。そして今まで行ったレストランのほとんどがArkady Novikovというレストランオーナーの開いたものだということを知った。彼はモスクワでは知らない人がいない超有名人で60以上のレストランチェーンを持つ。Washington Post記事に詳しく出ているので興味のある人は読んでみてください。

すごいのはそのPortfolioの幅広さ。
GALEREA・・・バー・ラウンジ・レストラン。店の外にはベンツやBMWが停まり店員は全身黒のモデルのよう。店内にはモデルの写真が飾ってある。客層はファッションやスタイルを見せびらかすために来る若い女性、お金を持っているビジネスマン、単に『モスクワ一スタイリッシュなレストラン』が見たくて来てる普通の人。
VOGUE CAFE・・・GALEREAと同じくスタイリッシュなカフェレストラン。
Beloe Solntse Pustyni・・・ウズベキスタン、タジキスタン地方の料理を主とした高級レストラン。店内もオリエンタルな雰囲気。
Market・・・魚や野菜など新鮮な材料を自分で選び調理してもらうテーマ・レストラン。
CANTINETTA ANTINORI・・・高級イタリアン。フィレンツェ、チューリッヒ、ウィーン、モスクワと世界に4店、本格な味がウリ。
Tsarskaya Okhota・・・モスクワ郊外にある皇帝の狩猟小屋をイメージしたレストラン。
Yolki-Palki・・・ロシア料理のチェーン。サラダバーなどビュッフェが人気で中流階級向け。

日本で類似するブランドで思いつくのはひらまつくらいだけど規模、Portfolioの幅広さともに比較にならないくらい小さい。

High-endのブランドとマス向けのブランドを持つのは難しい芸当なのだがArkady Novikovの場合、彼自身がブランドになっているので人々は新しいレストランがオープンするたびにこぞって食べに行く。話題性ばかりではない。料理学校を卒業した経歴を持ち「ロシア人においしいモッツァレラチーズとおいしくないモッツァレラチーズの違いだけでなく、おいしいモッツァレラとものすごくおいしいモッツァレラチーズの違いを教えた」と自負するだけあって、彼のレストランの料理はやはりおいしい(といっても東京で普通においしいレベル)。今写真を撮りためているので、もう少したったらGallery上で紹介します。


posted at 10:47 PM : |


             

キーワードで解くMBA