December 31, 2004

SWOT 2

2004年の締めくくりは昨日の続き、SWOTで。

Blogツールには大きく分けてホスティング型とサーバー動作型の2タイプある。
ホスティング型というのは、 各プロバイダーや企業が提供するblogサービスのことで、利用者は登録しさえすればすぐにblogを始めることができるので、日本の多くのBloggerは登録さえすれば面倒な設定が不要なホスティング型を使っている、と思う。
参考:ホスティング型ブログサービス比較表主要Blogサービス機能比較

一方、サーバー動作型で代表的なのがMovable Type。ツールをダウンロードしてそれをサーバーに自分で設置しなければいけないし、設置した後もそれなりの知識が必要だが、ほぼ100%自分の好きなようにレイアウトできる。

Bloggerはこのどちらにも属さないHTMLアップロード型サービス。ブラウザからBlogger.comにアクセスしここでblogを作成すると、静的なHTMLが作成される。このHTMLファイルを任意のサーバにFTPを使って自動的にアップロード(Publish)できるようになっている、というもの。

ここでやっと本題のSWOT分析をしてみる。
□Strengths
-専用サーバーが生成したHTMLをFTPでアップするため、使用サーバーを選ばない(サーバー動作型で無料サーバーを使用する場合、使用可能言語が限られている場合が多い)
-Bloggerのサーバー側にデータがあるため、ネットが使えればどこからでも更新できる
-テンプレートのカスタマイズ性が高い。見かけはほぼ100%好きなようにできる。
□Weaknesses
-コメントとトラックバックは外部サービスの利用が必要(私はHaloscanを利用)
-日本のユーザー数が少ないため、設置やカスタマイズ、文字化け対策など日本語情報がとても少ない(ユーザーインターフェースは基本的に全部英語)
-ホスティング型にあるように同じサービスの中でのBlogランキングなどサービスが少ない
-カレンダーとカテゴリー別投稿機能がない
□Opportunities
-いまさら言うまでもないブログブーム
-2003年2月にGoogleが買収して以来、Googleツールバーと連動したり、広告配信プログラム「AdSense」の収入の一部をユーザーが獲得できるなどGoogleとの連携が強化されつつある
□Threats
-機能を充実させた国産ブログツールが続々と登場している

こんなところでしょうか?
何事も見た目重視の私にとっては「デザインを100%自分の好きなようにできる」ことが最重要なのでホスティング型はNG、全部似たようなデザインだし広告多いし不必要な機能も多すぎる(エラそうに言ってる割には自分のBlogのデザインはちょっと色がキツすぎて失敗したかなー、と思ってるけど)。

でもカテゴリ分け機能は欲しい。このBlogもFinance、Accounting、Marketing・・・etc.とカテゴリ分けするだけでどれだけ見やすくなることか・・・
なので今選ぶとすればMovable Typeにするでしょう、移行が面倒くさいのでたぶんこのままだけど。

日本ではなかなか厳しい状況のBloggerだけど、本題であるSWOT分析は、あくまでも分析ツールの1つとして活用し、必要に応じてValue Chain(→8月23日Blog)やFive Forcesなど(→10月13日Blog)他の分析フレームワークを活用することが適切な戦略立案には必要です。

今年8月から始めたこのBlog読んでくださってる方、ありがとうございます。
よいお年を!


posted at 1:53 AM : |


December 30, 2004

SWOT 1

MBA用語の中でも基本中の基本、"SWOT"をずっと紹介したかったのだが、何を対象に分析すればよいか考えている間に時間が経ってしまった。SWOT分析とは、企業内部の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)、企業を取り巻く環境における機会(Opportunities)と脅威(Threats)を分析することにより、戦略の構築及び評価を行うフレームワークのこと。

留学中やっていたBlog(→l'année à fontainebleau)から入れると私のBlog歴は1年と5ヶ月。その間浮気をせずにずーっとBloggerを使ってきた。そこでBlogにふさわしくBloggerのSWOT分析を行うこととします。

今Blogをやっている多くの人がどういうきっかけで始めたのかわからないけど、私の場合INSEAD留学が決まって何とか心配性の親が高い国際電話を頻繁にかけてこなくても済むように手軽に様子が伝えられる手段がないかと思っていた。そんな時出会ったのがINSEAD2003年12月卒業生のこのBlog→Un Film Snob Pour Martiens。なんだかよくわからないけどWeblogというらしい。簡単に更新できるらしい。

ちょこちょこと調べてみると、当時メジャーなものはMovable TypeとBloggerがあって、日本のものははてなダイアリーくらいしか見つからなかった(本当はもっとあったのかも)。

「まあ、いいや、BlogをやるんだからBloggerで・・・」という単純な理由で決定。SWOT分析も何もあったものじゃない。

でもHTMLを書いたこともない私がFC2Webで無料レンタルサーバー借りてBloggerでFTP転送設定してWicked Templatesでテンプレート借りてとほほのWWW入門の助けを借りながらテンプレートのカスタマイズをして(見た目が一番重要)、第一回目のBlogを投稿するまで5時間くらいしかかからなかった。

留学中は日本の情報はほとんど皆無。帰ってきて猫も杓子もBlogをやっているのにビックリした。しかも高機能!

私のどうでもいい話が長くなってしまったので肝心のBloggerのSWOTは明日にします。


posted at 10:58 AM : |


December 28, 2004

WACC

昨日に続いてFinanceの用語解説。
INSEADでボロボロになるまで使ったファイナンスの教科書→"Corporate Finance"

WACCは"Weighted Average Cost of Capital"の略、訳は「加重平均資本コスト」。式は下の通り。
E=Equity(株主資本)Balance Sheetの右側のShareholder's Equityにあたる
V=Value(有利子負債+株主資本)Balance Sheetの右側の総計
D=Debt(有利子負債)Balance Sheetの右側のLiabilityにあたる
Re=Cost of Equity(資本コスト)株主が投資先企業の株を買うことで期待している期待利回り
Rd=Cost of Debt(負債コスト)短期・長期の借入金や社債、コマーシャルペーパーの金利のこと
Tc=Corporate Tax(法人税)

Rdに(1-Tc)をかける理由は、支払利息(Rd)は税金の控除の対象になるので節税分を差し引いたものが実質的な負債資本コストになるため。

このWACCをどういうところで使うかというと、(10月25日のBlogで取り上げた)NPVを導き出すためのDiscount Rate(割引率)として使い投資判断を行う時などけっこうお役立ち。
余談だけど、WACCは"wack"(気チガイという意味)と発音が一緒なので、みんな喜んでジョーク(というかダジャレ)などに使っていた。

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posted at 10:59 AM : |


December 27, 2004

CAPM

Blogの内容がストラテジーとマーケティングに偏りがちになってしまうけれど、以前も書いたようにINSEADで一番理解度が増したのがファイナンスだった(理解度がとても低かったので)。
残念ながら知識を活かす機会はほとんどないけれど、忘れてしまわないように意識して学んだことを振り返っていきたいと思います。

CAPMとはCapital Asset Pricing Modelの略で「資本資産評価モデル」と訳される。株式の期待収益率は無リスク資産の収益率と危険資産のリスクプレミアムをたし合わせたものに等しいとするモデル。式は下の通り。
Ei=Expected return on security i(ある株式の期待収益率)
Rf=Risk free rate(無リスク資産)通常国債のレートを基準に考える。国が発行する債券である国債は無リスクと考えられている(2001年のアルゼンチンのようにdefault(債務不履行)を起こすケースはあったが)
βi=株式のβ(ベータ)、市場が「1」動いた時にその株式がどれほど反応するかを表したもので、βが高いほど株式市場全体の期待収益率が上がった時に、期待収益率もその掛け算分だけ大きくなる。業種によって異なり面白いので、下に載せてみました。
Em=Expected return on market(市場の期待収益率)TOPIXなど

また、Em-RfのことをMarket Premium(市場プレミアム)と言う。

この式に当てはめるとある企業の期待収益率が計算でき、株式の期待収益率と比較して株が割高か割安かということを判断できる、というもの。実際にはベータを出すのがとても難しいのですが・・・

U.S. Federal Energy Regulatory Commissionの出した業界ごとのβは以下の通り。
電子部品・・・1.49
原油と天然ガス・・・1.07
小売デパート・・・0.95
精油・・・0.95
自動車部品・・・0.89
化学品・・・0.88
食品・・・0.84
繊維・・・0.82
製紙・・・0.82
航空会社・・・0.75
鉄鋼・・・0.66
鉄道・・・0.61
電話・・・0.50
電力・・・0.46

INSEADの教授はベルギー人でフランス語なまりが激しかったのでCAPMを"カーペーエム"と呼んでいたけれど、正式な読み方(?)ご存知の方教えてください。

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posted at 11:22 AM : |


December 26, 2004

AIDA

広告・マーケティングの世界ではお馴染みのAIDAモデル(M=Memoryを入れてAIDMAとも言う)。
消費者は購買に至るまでA(Attention)→I(Interest)→D(Desire)→A(Action)の4つの心理段階を踏むという。

INSEADの"Marketing Communication"の授業ではより詳細なモデルとして、
Exposure→Attention→Comprehension→Evaluation→Memorisation→General Attitude→Preference→Purchase Intention→Trial→Evaluation→Repeat Purchaseという購買プロセスを紹介していた。

実際に私の顧客企業でも消費者調査により調査対象者の何%がブランドを知っているか(Attention)、興味を持っているか(Interest)、購入したいと思っているか(Desire)、実際に購入したか(Action)を調べており、落ち具合の大きいステージで対処する施策を行って(行おうとして)いる。

1.Attention・・・ブランドの認知度が低く消費者の注意を惹きつけられない場合。マスメディアを通じた広告が最も効果的に作用するのがこのステージ。有名ブランドの認知度を逆に利用したのがいわゆる海賊版。"CHAKEL No.5"とか"LVマーク"の代わりに"CVマーク"とか(ロゴにしてみると結構似てる)いろいろあります。
2.Interest・・・商品そのものに興味を抱かせるには?実際のユーザーメリットに訴えかけることが重要。
3.Desire・・・商品を欲しいと思わせるには、身近な人や権威ある人の推薦、口コミや、試用させてよいと思わせることが重要。店頭でのデモなども有効。
4.Action・・・最終的に購買行動に結びつけるためには価格や、ユーザーが欲しいと感じた時に手に入ること、など。

A→I→D→Aとステージを経るにつれ、Mass Mediaから人的手段に移っていく。

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posted at 12:24 AM : |


December 25, 2004

CRM

20代の女性にとってP&GSK-IIは憧れの化粧品ブランド。もちろん高価格で1回パックのトリートメントマスクが1,600円、私にも全然手の届かないブランドだ。1回だけプレゼントでもらって試してみたマスクはすごい威力、顔色がパッと明るくなって続ければ桃井かおり(の肌)になれそうな気がした。

もともとSK-IIはP&Gが買収したMAXFACTOR日本法人が1980年に導入したブランド。P&Gはこのブランドが老化防止などの機能で熱烈なファンを持つことに注目し、CRM(=Customer Relationship Management)に力を入れた。

CRMとは、「企業が顧客との間に長期的な関係を築くことで、自社の競争力を高めていく経営手法を指す。顧客と接する機会のあるすべての部門で顧客情報とコンタクト履歴を共有、管理し、どのような問合せがあっても、常に最適な対応ができるようにしようという概念」と定義される(日経コンピュータ)。

日本の化粧品販売は伝統的にデパートなど小売店でメーカーから派遣された美容部員による対面販売が主流(最近になってマツモトキヨシなどドラッグストアでのセルフ販売が急成長しているが)。そんな日本の流通慣行を前に(自社ブランドの化粧品がふるわず)イギリスのBootsも、(高級ブランド品のセルフ販売が浸透せず)フランスのSephoraも日本進出から5年も持たず撤退した。

デパートでは顧客カードを作成し購買履歴を記録してDMを送るくらいはどこでもやっている。SK-IIの場合、上位1割の顧客の商品購入額が売上高全体の5割を占める。こうしたロイヤル・ユーザーには定期的にイベントを実施、店頭にはデジタル画像で顧客の肌を分析できる設備を業界に先駆けて導入し美容部員の研修にも力を入れた。

趣味の欄に「テニス」と書くと、ホワイトニング化粧品を薦められるというSK-II、頼りになるようなうっとおしいような(?)

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posted at 9:40 PM : |


December 24, 2004

Product Life Cycle

製品やブランドには"Life Cycle"というものがありMarketing Communicationはそのステージに沿ったものでなくてはチグハグなものになってしまう。

右の表のように4つのステージに分けるとすると、それぞれのステージでのMarketing Communicationの重点は次のようになる。

導入期・・・Category Needs, Brand Awareness, Brand Knowledge, Brand Attitude
成長期・・・Brand Attitude, Brand Preference
成熟期・・・Top-of-mind Awareness, Brand Attitude, Brand Loyalty, Customer Satisfaction
衰退期・・・Purchase, New Target Groups

「製品カテゴリ」のLife Cycleと「ブランド」のLife Cycleは異なる。私がかねがね私が生まれて20余年の間に生まれた中で画期的な商品だと思っているのが「無糖茶」(要はお茶)。お茶以外の清涼飲料水を全く飲まないのでお茶がなければ何を飲んでいたのか想像もつかない。元々は「お茶は家庭で急須で入れるもの」だったのを1981年に伊藤園、続いてSUNTORYが烏龍茶を発売し容器入り無糖茶市場を開拓。1985年には伊藤園が世界初の「缶入り緑茶」を発売し容器入り緑茶市場を完成した。2000年にキリン「生茶」の大ヒットによってペットボトル入り緑茶市場は百花繚乱時代を迎えた。

今、「無糖茶」という製品カテゴリは清涼飲料市場全体の3割を占め成熟期に当たる。この中で企業が取るべき戦略は上記にあるように、"Top-of-mind Awareness"、"Brand Attitude"、"Brand Loyalty"、"Customer Satisfaction"を育てること。

日経ビジネスの特集『2004年ヒット商品ランキング』で冬のソナタにつき2位に入ったのがSUNTORYの伊右衛門。SUNTORYは2001年にプーアール茶をベースにした熟茶で大失敗している(1年で生産中止に)。
失敗から徹底的に学んだ結果をいかしたのが伊右衛門。京都の老舗茶葉メーカー福寿園と提携してブランド強化し、CMでも本木雅弘、宮沢りえといった時代劇常連を採用して老舗イメージを強調("Brand Attitude","Brand Loyalty")、その創業者である"福井伊右衛門"の名を用いたインパクトのあるネーミングを起用("Top-of-mind Awareness")。メイン消費者である職場の男性サラリーマンをターゲットに安らぎ感を重視して香りも甘みも急須で入れた緑茶の忠実な再現にこだわった("Customer Satisfaction")。

狙いが見事に当たり伊右衛門は発売と同時に注文が殺到したらしい。私は緑茶より烏龍茶派なので実は飲んだことがない。せっかくだから飲んでみよう。

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posted at 10:29 PM : |


December 23, 2004

Tipping Point

とにかくどんな分野にでもカリスマがいる世の中。インターネットの普及によって情報の伝播が劇的に早くなり特定の人の人気がウィルス感染のように広まる"Tipping Point"に達しやすくなったからだ、と思っている。

"Tipping Point"とはその概念を生み出した本、『ティッピング・ポイント-いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』では"あるアイデアや流行もしくは社会的行動が敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと"と説明されている。本書では、なぜニューヨークの犯罪発生件数が5年間で64.3%もダウンしたのか、なぜ鳴かず飛ばずのシューズブランドだったHush Puppiesが突然全米の若者の間で大ブームとなり爆発的な売れ行きを記録したのか、などの現象を解明する。ごく小さな原因が感染的に広がり劇的な変化を生むという。

インターネットの普及は"Tipping Point"へ達する速度を上げたと同時に、個人の多様化した嗜好への対応をも容易にしたため分野の細分化が進んでいるようにも思う。

例えばカリスマ主婦というジャンルでも、『すてきレシピ』という専門雑誌まで持つ栗原はるみ、イタリアと信州に家を持つ優雅な暮らしっぷりがうらやましい有元葉子、レーサーの夫を持つため「毎日がおもてなし」という飛田和緒、栄養士でもある村上祥子、本業はイラストレーターの大橋歩、元モデルの雅姫、元タレントのchiharu・・・

実に細かく細分化されていて異なる主婦層のニーズを満たしているのです。


posted at 9:20 PM : |


December 22, 2004

Metanational Corporation

INSEADの"Global Strategy & Management"のクラスで学んだ"Metanational"という言葉、一般的な言葉じゃないようでオンライン辞書 ALCで引いても出てこなかった。

"Global Corporation"と"Metanational Corporation"との違いは"Global Corporation"が単に国を超えてオペレーションをしているという地理的な業態のみを指しているが、"Metanational Corporation"は各地域の差異を認め、そこ根付いている特性の尊重や高度な融合により一段と高いレベルの競争力を実現しようとする企業を指している。

この言葉を思い出したのは先週の日経新聞の『新会社論』という特集記事を読んだため。低迷を抜けた日本企業が「国を捨てずに国を超える」経営、すなわちこれまでの生産や開発機能を一方通行で海外に移植してきた経営から顧客基盤を分散しつつ内外の拠点を自在に結びつける経営、で世界の頂点を目指す記事。

例として挙げられていたのが日本郵船TOYOTA、そして携帯電話用ソフトのACCESS

TOYOTAの例を要約すると、
従来日本でまず生産してからそのノウハウを海外移転する体制を取っていたが、今年タイのサムロン工場を初の小型トラック量産拠点とした。来年には南米でも同車を生産。「外→外」の展開が実現する。とはいえ、「内」が用済みだというのではなく、豊田市元町工場に昨年7月オープンしたグローバル生産推進センターでは世界の拠点から約1000名の従業員が集まりトヨタ生産方式を学んだ。帰国後は彼らがトヨタ流の伝道師となり生産レベル引き上げに奔走している。
というもの。

真に"metanational"な企業は世界に何社あるんでしょうか?



posted at 9:29 PM : |


December 20, 2004

BRICs

Economistが2005年世界の国"Quality of Life"ランキング(→Quality of Life)を発表した。
それによると(私が来年以降長期出張が確定した)ロシアは111ヶ国中何と104位。ロシアより下の国はというと、
106位 ウズベキスタン
107位 タジキスタン
108位 ナイジェリア
109位 タンザニア
110位 ハイチ
111位 ジンバブエ
以上

えっ、、、そ・そんだけ? 7つの指標(物質的豊かさ、健康、家族関係、労働市場の安定性、社会活動、政治的自由と安定、男女間の平等)にEconomist独自のweightをかけて総合点で算出される。そのうち「政治的自由と安定」のweightがもっとも高いので確かにそういう結果になってしまうのかもしれない。

そんな国に長期出張になったのか、へこむなー

とはいえ、ロシアは今Hotな"BRICs"(Brazil,Russia,India,China)の一角を占める成長国。MBAのAdmissionオフィス(合否判定を行うところ)は正直なもの。学生の出身国構成は「今、経済力がある国」ではなく「将来性のある国」を如実に表しているところが面白い。日本人学生は1980年代多かったけれど、今はアメリカのビジネススクールでもヨーロッパでも当時に比べて少ないらしい。

INSEADでも"BRICs"出身の学生は多く、しかも彼らは元気だった。中国人、ロシア人の学生は卒業後、おそらく高給で輝かしいキャリアが約束されているだろうポスト(外資系)につくべく母国へ帰る人がほとんどだったが、インド人、ブラジル人はまだ母国の給与レベルが低いため欧米に残ろうとする人が多かった気がする。

実際モスクワでINSEAD時代の友達を初め私ぐらいの世代の人と話すと「政情も安定してきているし、経済の成長性があるこの国でHAPPYだ」という人が多く(もちろん私と英語でしゃべれる非常に限られたトップレベル層だが)なんだかうらやましい。わざわざINSEAD卒業後の勤務地としてモスクワを選んだドイツ人のWalterに聞いてみても「ドイツでコンサルタントをしてもコストカットの話しか出てこなくつまらない。ロシアの方がよっぽど面白い仕事ができる」とのこと。

高校在学中から長期不況に入ってしまった日本で育った者としてはちょっぴりうらやましい話です。


posted at 1:13 AM : |


December 19, 2004

Structural Unemployment

モスクワでは意外と路上のホームレスを見ない(意外というのは7月まで住んでいたフランスを初めとしたヨーロッパ大都市に比べて、ということ)。そりゃそうだ、あんな寒いところで路上生活をしていたら凍え死んでしまう。実際毎年冬になると路上で凍え死ぬホームレスは後を絶たないらしい。

JETROによるとロシアの2003年の失業率は8.9%だからあまり見ないからといってホームレスがいないわけではないらしい。彼らはどこに住んでいるのだろう?(もちろん失業者=ホームレスではないが)この8.9%という数字は,ロシア経済が好調なのに、である(2003年の実質GDP成長率は7.3%)。


先進諸国の失業率
対する日本の現在の失業率は4.7%、政府の今年度の実質GDP成長率予測は2.7%である。フランスの失業率は9.7%、ドイツは10.5%、西欧諸国の失業率は軒並み日本より高い。右の表は1980年から2000年までの先進諸国の失業率をグラフにしたもの。

失業率には以下の2つの種類がある。
Cyclical Umemployment(循環失業)・・・景気のサイクルによるもの
Natural Rate of Unemployment(自然失業率)・・・経済が通常の状態でも生じる失業、右の折れ線グラフの高いところと低いところの中間点を結んだ線が表す(西欧では10%前後)

そしてNatural Rate of Unemploymentにはさらに2種類ある。
Frictional Unemployment(摩擦的失業)・・・学校の新卒者、地域間を移動する者、子育てが一段落して再就職しようとする女性、など一時的に発生する失業
Structural Unemployment(構造的不況)・・・社会の構造により発生する不況。硬直的な最低賃金法、税法、労働組合、失業保険などのセイフティーネット、などが引き起こす。
ヨーロッパの高い自然失業率はStructural Unemploymentによる。

私は平日の昼間に街をぶらぶらするのが好きだ(そんな贅沢は有休を取った日か朝海外出張から帰ってきて午後会社に行かなかった日くらいしか許されていない)。平日の昼間デパートに行くと学生か主婦か高齢者しかいないので、「そのどれでもない労働者である自分が人が働いている間にぶらぶらできている」という感覚が好き。

でもヨーロッパの大都市では平日の昼間でも同じ年くらいの若者が何をするでもなくたむろしているのでとても落ち着かない。Structural Unemploymentの根は深く一夜にして解決はしないが、この若年層失業者の存在は歴史と趣があって散歩に最適なヨーロッパの街並みを何となく鬱とした雰囲気にさせる。


posted at 2:18 AM : |


December 17, 2004

Market Segmentation

フジテレビの今クールの月9、『ラストクリスマス』がもう来週で最終回だ。主人公の矢田亜希子が病気だっていうところぐらいから無理な展開になっている気がするけど(『セカチュー』(世界の中心で愛を叫ぶ)の2匹目のどじょう?)どうオチをつけるんでしょうか?

トレンディドラマ枠として定着してきた"月9"。91年の『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』、93年『あすなろ白書』、96年『ロングバケーション』とその時々で勢いのあるタレントを起用し高視聴率を出し続けてきたが、かつての勢いがなくなったといわれて久しい。

月9枠は主にF1層(視聴率調査の年齢区分で20-34歳の女性のこと)をターゲットとした恋愛ドラマだった。他の呼び方については以下の通り。
キッズ 4-12歳
ティーン 13-19歳
M1 男20-34歳
M2 男35-49歳
M3 男50歳以上

F1 女20-34歳
F2 女35-49歳
F3 女50歳以上
月9のみならずTVの連続ドラマの苦戦はF1層のみをターゲットとすること、そもそも年齢と性別のみで区分することに無理があることの現れだと思う。

"Market Segmentation"(市場のセグメンテーション)とは不特定多数の顧客を、共通のニーズを持って類似した購買行動をとる市場セグメントに分けて、その中の特定のセグメントに照準を合わせてマーケティングの資源を集中投下するという考え方からきている。セグメンテーションの主な基準軸としては、

□消費者の特性による基準
-地理的特性(geographic)・・・都道府県、市町村、都市規模、都市/郊外/地方、気候
-人口統計的特性(demographic)・・・性別、年齢、家族人数、ライフステージ
-社会・経済的特性(Social/ecnomical)・・・年収、職業、宗教、学歴
-心理的特性(psycological)・・・ライフスタイル、パーソナリティ
□消費者の反応による基準
-行動科学的特性(behavioral)・・・購入量、ロイヤルティ、態度、ベネフィット

このうちF1・・・というセグメンテーションは人口統計的特性の中の年齢と性別のみに着目したもの。ところが欧米では市場のセグメンテーションを行う場合年齢と社会・経済的特性に着目することが多い(Students, Young Professionals, Young Executives...といった具合)。また人種や居住地区(Urban/Rural/Suburb)によるセグメンテーションもよく行われる。実際インターネットなどの発達によって先進国の都市部に住む若者層の消費性向などは驚くほど似てきていると言うし、男女差よりも社会的地位による差の方が大きくなっているかもしれない。

「カンチ」役で一世を風靡した織田裕二に人気急上昇の矢田亜紀子をぶつけただけでは多様化する消費者の嗜好を捉えられないんじゃないでしょうか?

アメリカの全国民を地理的、人口統計的、社会・経済的特性な基準で62に分けたという面白いレポートを発見したので興味のある方はコチラ


posted at 2:45 PM : |


December 16, 2004

Money Supply

INSEADのマクロ経済の教授Antonio Fatàsは本当に教えるのが上手だった。クラスが終わった後はEconomistの記事に書かれている内容が理解できたので誇らしかったものだ。

この授業は日本人学生にとってはなかなか肩身の狭いクラスで、ある日の授業は日本経済の長期低迷を示す様々なグラフを1929年に起こった世界恐慌時のデータとの類似性を上げながら解説するものだった。内容は以下。

現在日本の"nominal interest rate"(名目金利)はゼロ金利。
金利を下げる→"Money Supply"(通貨供給量)を上げる→市場に出回るお金が増える(企業や個人がお金を借りる)→借りたお金で"investment"(設備投資)を行う→Output(生産量)が多くなる→景気がよくなる、というのが金融政策の定石だった。ところが今の日本では"Money Supply"を増やしても需要増やインフレにつながらずデフレのままである。デフレ="real interest rate"(実質金利)はすでにマイナスなのだが、"nominal interest rate"はすでにゼロ状態にあり名目金利をマイナスにするわけにはいかないので、有効な政策が打ち出せずにいる」
授業中、この日本の憂うべき状況について解決策はなかったと思う。

この点に関して(一昨日も取り上げた)『考える技術』での解説は以下の通り。
"Money Supply"がインフレにつながるというクルーグマン教授の説は新時代を迎えた今通用しない。例え日銀からの通貨供給量が増えたとしても
1.国民は基本ニーズは満たされているので特に買いたいものがない
2.以前は低金利の時に在庫を増やし高金利の時に在庫を減らすという経済活動が常識だったが、IT技術の進歩により流通や製造の効率化が進んだのでそもそも在庫を持つ必要がなくなっている。Dell Computerのような会社が金利が下がったからといって在庫を持つわけがない。
3.金融庁のマニュアルにしたがっている銀行が企業にお金を貸さないので企業にはお金が回らない。銀行は国債しか買うものがない。

なるほどなー、と思います。でもじゃあマクロ経済の論理が通用しない世の中ではいったいどうすればいいんでしょうか?


posted at 9:15 AM : |


December 15, 2004

Price Elasticity

2002年9月に丸ビルが、12月にカレッタ汐留が、2003年4月に六本木ヒルズがOPENし東京再開発戦争が勃発してはや1年半、完全に六本木ヒルズに軍配が上がった気がする。私も他の2つには行かないが六本木ヒルズには行く。お目当てはアカデミーヒルズのアーテリジェントスクールの1回2時間3000円の完結レッスン。

OLといえば習い事だが(?)、以前は一定期間続けることが当たり前だった習い事だが最近は仕事を持つ20-30代の女性に気軽にイベント感覚で参加できる1日講座が人気だという。
私にとってみれば、不定期な海外出張が多いので定期的なスクールは無理なので1回完結講座はうってつけ。

アーテリジェントスクールの人気は1回完結講座の位置付けを「お試し」ではなくメインとしたところ。そして3000円という絶妙な価格付け。3000円といえばランチ2,3回分、カジュアルなディナー1回分。会社勤めをする女性にとって、週末の数時間を楽しく有意義に過ごすためであれば気軽に出せる金額であり、それなりの満足感を得られるかも、と期待できる金額でもある。無料(もしくはあまりに低価格)であれば「1回完結講座」ではなく「(本レッスンを受講してもらうための)体験レッスン」の位置づけなので勧誘が熱心であることが予想されるし、これより高価格であればよっぽど有名な先生や丸1日など長時間でない限りちょっと二の足を踏む。

価格の変動によって、商品に対する需要が変化する度合いを"Price Elasticity"(=価格弾力性)という。一般的に、商品の価格が安くなれば消費者からの需要が増えるし、逆に高くなれば減る。

2つの例を比べてみる。
A: スーパーで売っているヨーグルトの価格を150から270円に上げた場合、販売数量が100個から60個減っったとする。この場合の"Price Elasticity"は需要(=販売数量)の変化率/価格の変化率なので、0.88(小数点第二位以下四捨五入)。
*"Price Elasticity"は通常マイナス値なので絶対値で表記。

B: ある本屋がヨン様の写真集を8,000円13,000円に値上げした場合(実際は再販制でできないが)、販売数量が100冊から90個に減ったとする。この場合の"Price Elasticity"は0.22。

ヨン様の写真集はスーパーのヨーグルトより"Price Elasticity"が低いと言える。そして"Price Elasticity"は商品のジャンルや人気度だけでなく、時と場合、場所によっても大きく異なる。駅前にいつも構えている屋台の焼きそばが350円から500円になったら素通りする人は増えるが、大晦日の平安神宮(京都)の境内の屋台は1皿1000円なのに長い行列なのである(5年経った今でもあれはボッタクリだと思う・・・)

では1回完結レッスンの"Price Elasticity"は?
ケイコとマナブで検索してみると、関東地方の1回完結レッスンは124件、うち80件が3,000円以下、89件が4,000円以下。やっぱり相場はこれくらいなんですねー


posted at 1:22 AM : |


December 14, 2004

Change Management

大前研一の『考える技術』を読んだ。この人の本は読みやすい。内容は郵政改革から中国経済まで右に左に飛ぶが、話が論理的なのでわざわざ「あれ、どういうことを言ってるんだっけ?」と読み返す必要が全くなく乱読派/スピード読書派の私にはソッコウで読める。

それはともかく本の中の日産CEO ゴーンさんのくだりが面白かった。ゴーンさんといえば"Change Management"(=組織・企業文化を変革すること)の旗手として国内外であまりにも有名。INSEADでもよくケースとして出てきた。そのカリスマを取り上げて"改革当初は生産と購買から見れば悪魔か鬼、それが改革を推し進めるにつれ英雄となった。彼がやってのけれたのは「絶対権限」を与えられていたから。"、"やったことは購買費の2割カットなどごくごく当たり前のこと。日産には元々技術があったから経営の問題、組織の問題の改革だけで成果が出た。"と淡々としたコメント。

INSEADのGlobal Leaders SeriesでRenaultのChairman&CEO Louis Schweitzerが来たことがある(→BLOG参照)。その時も皆の質問は「ゴーン氏を後継者に選んだのはなぜか?」「なぜ彼は改革を成しえたのか?」といった質問が多かった。日本人代表としては「前任者にできず彼にできたのはひとえに彼が外部から来た"黒船来襲"のように捉えられていたからであり、遂行できるだけの絶対権力を与えられていたからだ」というコメントをしたかったのだけどできなかった。

もちろんゴーンさんが類まれなリーダーであることを否定はしないし、「外圧」がなければ"Change Management"ができないというつもりもない。ただ、日本企業でもっと内部からの"Change Management"が見てみたい。


posted at 12:09 PM : |


December 13, 2004

Fixed Cost

Soup Stock Tokyoにはまっている。私はひとり旅は平気だがひとりでレストランや定食屋に入れないので、ひとりの時はStarbucksTully'sを初めとするカフェにしか入れない。するとサンドイッチくらいしか食べるものがないので圧倒的なご飯派としては不満が残る。そんな私に救い神のように現れたSoup Stock Tokyo。現在全種類制覇を目指し中。どれを食べてもおいしいけれどお気に入りは"温野菜とチーズのブラウンシチュー"。

このSoup Stock TokyoやChowder'sなどのイートイン(+テイクアウト)のスープ屋さん、不況に弱いとされる外食産業の中でかなり利益率がいいんじゃないかと思う。理由は"fixed cost"(固定費)が他の業態に比べ低くてすむこと。どこかで作って運んできて店舗では温めているだけなので調理スペースがいらない、セルフサービスなので人件費が低く押さえられる、具は違えどメニューはスープ(と一部店舗でカレー)だけなので什器の種類が少なくて済む。これでスープ(S)2種類+パン or 白胡麻ご飯で900円と定食屋と変わらない値段なのだから。

どうでもいいけど、"東京ボルシチスープ"。モスクワで食べたボルシチとはあまりに違っていた。あの赤い色はトマトじゃなくて「ビーツ」なんですけど・・・(まあ私はビーツが嫌いなので日本のボルシチの方が好き)


posted at 12:38 PM : |


December 12, 2004

Brand Equity

今さら言うでもないがヨン様ブームがすごい。

私がフランスから帰国した7月にはすでにブームだった。初めは「ヨン様」とは冬ソナのチェ・ジウを巡って三角関係になったもう1人の人(名前がわからないけど「ヨン」がついた)だと思っていたくらいブームについていってなかったし、今もついていっていない。

一説によるとヨン様の"Brand Equity"(=ブランド価値)は100億ウォン(=約10億円)らしい(→BUNKAKOREA.com)。この記事は少し古いので今はもっといっているかもしれない。

最近よく話題にされる"Brand Equity"、どうやって計算しているのだろうか?
ブランド価値の評価手法はさまざまなものがあるが、イギリスのInterbrand社の手法が有名でよく使われている。Interbrandは毎年Best Global Brand TOP 100を発表しており、2004年も1位はCoca-Colaだった。

Interbrandの手法とは企業の評価方法と一緒で、今後そのブランドがどれくらいの付加価値を生み出すかを算出し、算出した将来価値をリスクレベル(どのくらいの確立で実現するか)で現在価値(=NPV→10月25日くBLOG参照)へ割り引くもの。
まず、最初に売上の何割がブランドに起因するものかを算出し(同仕様のノーブランド製品と比較)、店舗立地などブランド以外の無形資産に起因するものを除き、最後にブランドのリスクレベルを計測するためにブランドの強さを分析する。ブランドの強さにはマーケットリーダーシップ、安定性、地域性などの要素が含まれる。

上記BUNKAKOREA.comの記事では100億ウォンは売上予測なのでコストを引いてリスクレベル(ヨン様ブームが急速に冷める可能性)を割り引いていないが、なんせターゲット層は40-50代を中心としたおばさま、移り気な若者が主なターゲットだったベッカム様ブームより長く続くのではないか、と言われている(私もワールドカップの間だけ携帯の待受画面はベッカムだった・・・)。

まあ私はヨン様には全く興味がないけれど、韓流ブームは本当によかったと思う。あんなに「近くて遠い国」と言われていた韓国、歴代首相が訪韓のたびに謝罪が十分でないと言われ微妙な関係を保ち続けていた韓国に、こんなにもあっという間に近づいてしまった。韓国国民だって自分たちの国のスターが好かれれば悪い気はしないはず。次はアジアカップがかなり後味悪かった中国だ・・・


posted at 12:42 AM : |


December 11, 2004

Communication Mix

突然ですが、「携帯をシンプルに」というダウンタウンの松ちゃんのCMを見たとき、皆さんはどう思ったでしょうか? 私は「あー、やっちゃったかー」と思った。


ツーカーS
一時期はあゆデザインの豹柄携帯(覚えてます?もう4年も前の出来事→ASCII)で私をドコモから乗り換えさせかけたツーカー。すっかり聞かなくなったなー、と思っていたところにこの「カメラなんていらない」宣言。技術開発力で大手3社についていけないことを認めた敗北宣言じゃん、と思った人は私だけじゃないはず(ついでに松ちゃんのイメージダウンだとまで思った)。そして何と電話帳がないというモデルまで出してしまった(右の写真)。

ところが、この「シンプルな携帯」が売れてるらしい(11月に契約者数が2002年以来の純増に転じたというニュース→IT News Mobile)。ターゲット層ではない私にもだいぶメッセージが届いてるくらいだから、"Communication Mix"がうまくいってるんだろう。

コミュニケーション戦略の構成要素としては次のようなものがある。いずれもツーカーのケースで見てみる。
-Advertising
マスメディアを利用した広告(ツーカーのCMを知らない人は→CM集
-Public relations
広告と同じくマスを対象としたものであるが、違いは費用がかからない点
企業自らが行うNews Release(ツーカーS発売の記者発表)やマスメディアに記事やニュースにしてもらうPublicity(上記のIT News Mobileなど)がある。
-Sales promotion
割引、クーポン、無料体験、ノベルティグッズなどを使ったセールスキャンペーン(「おばあちゃんの原宿」巣鴨で行ったキャンペーンで配られたものは何と地蔵せんべい、地蔵飴、地蔵まんじゅう→コチラ
-Sponsorship
スポーツや文化的なイベントへのスポンサー、TVのスポンサーなどを通じて企業のブランドイメージを上げること
-Point-of-purchase communications
顧客が購入する場所でのショップ・ディスプレイ、広告ビデオなど
-Exhibitions and trade fairs
新製品の発表はよく展示会を利用して行われる(ツーカーSもWPC EXPO 2004で発表された)

他にもあるけれどマス向けと個人向けをうまく組み合わせることが重要。

中高年向けの携帯という市場、ドコモのらくらくホンも実はしっかり売れているらしいのでこれまでも一定の需要はあったのに何となくひっそりと売られていた(のは単に私がターゲット層じゃないから目につかなかっただけだろうか?) ここまで全社方針の転換を思い切った(4年前はあゆの豹柄携帯だったのに)ツーカーに拍手(背水の陣だったんだろうけど)。ぜひとも頑張って欲しいものです。


posted at 1:22 AM : |


December 09, 2004

Visionary Company

INSEADの"Corporate Renewal & Entrepreneurship"のクラスではRequired Book(いわゆる教科書、ほとんど授業では使わなかったけど)となっていたのがJames Collinsの"Good to Great: Why Some Companies Make the Leap...and Others Don't"(和訳:『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』)。
"Corporate Renewal..."を教えていた元ハーバード大教授のMorten Hansenも関わったプロジェクトで、「企業が2-3年好業績を続けることは"good company"なら可能だ。だが、10年続けることは難しく"great company"でなければならない」という経験則のもと十数年に渡って素晴らしい業績を残したFortune 500中の11の企業を研究し、彼らと同じような環境にありながら彼らのように"great"になれなかった企業を比較研究したもの。

11の"good to great"を成し得た企業の顔ぶれはというと、
Abbott Laboratories, Circuit City, Fannie Mae, Gillette Co., Kimberly-Clark Corp., the Kroger Co., Nucor Corp., Philip Morris Cos. Inc., Pitney Bowes Inc., Walgreens, Wells Fargo
と日本では馴染みのない会社ばかり(正直、私はGilletteとWells Fargoしか知りません・・・)。

この本は有名な"Built to Last: Successful Habits of Visionary Companies"という本(和訳:『ビジョナリー・カンパニー - 時代を超える生存の原則』)の続編であり、"Built to Last"の方は"Visionary Company"(=先見性を持った未来志向型企業のことで、商品のライフサイクルや優れた指導者が活躍できる期間を超えて、ずっと繁栄し続ける企業)という言葉を編み出した。

同じ環境にありながら繁栄できなかった企業と比較する手法は同じで、Colgateよりずっと遅く出発したProcter & Gambleがなぜ業界のリーダーになれたのか、バッテリービジネスから出発したMotorolaが半導体・通信業界に移れたのになぜZenithはTVビジネスに留まっているのか、BoeingにできてMcDonnell-Douglasにできなかったことは何か、DisneyとColumbia Pictures(Sonyに買収された)の違いは何だったのか、etc.

最近気になるのが、上記に上げた会社や3MIBMGEなどと共に"Visionay Company"に選ばれているSony。10年後のMBAプログラムは「時代の変化に対応できなかったケース」としてSonyを取り上げていたりしないといいのですが・・・


posted at 1:32 PM : |


December 08, 2004

Clash of Civilizations

INSEADの授業の中でも異色だったのがP3で必修科目だった"International Polytical Analysis"。私たちのクラスはクリントン政権の外交政策顧問まで勤めたPhilip Gordonが教授だった。決して親米派ではない国の出身者が多いINSEADで国際政治の教授をアメリカ人が勤めるとはけっこう勇気のいること。ちょうどイラクが大量破壊兵器を所持しているという名目で米軍がイラク侵攻した直後だったので、インド人や中東系の学生中心に侃侃諤諤やられていた。

私は何を隠そう学部時代国際関係論を専攻していたので、授業で出てきたTheoryは7年前学部でやったのとあまり変わらないもので懐かしかった。1990年代初頭、冷戦が終結し「米国VSソ連」という縮図が崩れて以降世界は新しい安定状態を探り続けている段階らしい。

Samuel Hungtintonが書いた"The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order"は冷戦後の世界の枠組みを、8つの文明圏の内部結束と相互の衝突という視点で描きだしたもので、1993年に"Foreign Affaires"というアメリカの外交雑誌に掲載したのが初めであるにも関わらず、その後の同時多発テロなどを予測したかのような内容で再び話題となっている。
和訳版もあります→『文明の衝突』

長い前置きはさておき話題にしたかったのはウクライナ情勢のこと。日本では「ウクライナはHungtintonが『文明の衝突』で示した西欧のキリスト教文明と東方ギリシャ正教会という2つの文明の境界に位置する」と解説されていて、まさに一触触発のような伝えられ方をしている。ところが、現地の英語新聞The Moscow Timesでは、1面ではクレムリンの対応など政治的な情勢は伝えているものの、中の紙面では首都キエフの議会前に毎晩集う若者たち(近くの空き地や公園でキャンプをしている)の間で親密感が高まり結婚するカップルが続出している話、極寒の中キャンプする若者たちにキエフ住民が差し入れする話を掲載するなど実にほのぼのした内容。

INSEADのクラスメイトでウクライナ人のVladimirに聞いてみると(彼は1週間前にキエフに行ったらしいが)「(野党支持者による)デモはいたって平和なもので始まってからただ1人の負傷者も強奪事件も起きていない。こんなに(特に若者を中心に)団結したことはかつてなく(ベルリンの壁が崩れた時もここまでではなかった、とのこと)街はお祭りのような雰囲気。家族・親族が国の東と西にいる国民がほとんどで国を二分割するなんて考えられない話。新たな東西ドイツや南北朝鮮を作り出すようなもの」とのこと。

彼の意見はロシア人の母を持つウクライナ人のインテリ層の一意見ではあるけれど、(冷戦後の世界の姿として『文明の衝突』の側面があることは認めた上で)めったやたらとセンセーショナルに書き立てるのはどうか、と思います。


posted at 1:40 PM : |


December 05, 2004

Alumni Network

INSEADで得た一番のもの。それはこのBlogでうんちく垂れている知識でもなく(スミマセン)上がった年収でもなく、世界各地にいる頼れる一生ものの友達と、そして何千人というINSEAD卒業生のネットワーク。

在学中から学校は"Networking"の重要性を説くし、私たち学生も1年という短い間に最高の絆を作ろうと忙しい勉強の合間を縫ってディナーやパーティーにいそしんだ。でも初めのうちはみんななるべく多くの人と出会いたいからパーティーでも5分くらい当たり障りのない自己紹介をしたら次に移ったりして、何となく時間制限付きのねるとんパーティー(行ったことないけど)っぽい感じがしないでもないし"Networking"という言葉自体に単に友好目的じゃない、ちょっとビジネスっぽい匂いがして好きになれないでいた。
まあ、それはそのうち過酷な授業スケジュールや試験を乗り切り休暇ごとに遊んだ者同士仲良くなって、違和感も徐々に払拭されていく。

そしてこの"Alumni Network"の有りがたみを一番感じるのが就職活動の時。すべてオンラインのデータベースになっているので興味のある企業に卒業生がいれば「話を聞かせてほしい」とE-mailを送ることになる。
この時点で断られることや無視されることはまずなく、ほとんどの場合快く電話やface to faceでの"Informational Interview"(日本でいうOB訪問みたいなもの、ただ採用には直結しない)に応じてくれて親身になってアドバイスをくれる。
そしてこの恩恵は卒業後もずっと受けられる。

今出張でモスクワに来ている。P1、P2と過酷な必修科目を一緒に乗り切ったグループメイトのロシア人TatianaがモスクワのCitigroupでクレジットカードのPortofolio Managerをやっているので連絡を取ると大喜びで同じくモスクワにいたクラスメイトでウクライナ人のVladimirとドイツ人のWalterを呼んでくれた。
VladimirはMonitor Companyの戦略コンサルタント、WalterはBCGのコンサルタントでモスクワで一番トレンディなクラブやカフェから(完全丸秘だけど)某巨大企業のM&A情報まで教えてくれる。
そして会えなかったけれど、モスクワには他にも同級生でMcKinseyのコンサルタントをしているNatalia、Russian StandardというウォッカのBrand Managerをしているロシア人とフランス人のハーフ、Antoineもいる。

同級生だけでこのすごいラインアップ、コネクションなので卒業生も入れると推して知るべし。私が仕事で付き合うことになる某ロシア大企業のTop Managementレベルにもたくさん卒業生がいるというし、月1回卒業生同士での飲み会が開かれているらしいし、仕事、プライベートを通してこの絆はいくらでも使えるし深められる。そしてこんなネットワークがヨーロッパを中心に世界中に広がっている。

"Alumni Network"の恩恵を受け、恩恵を受けたからこそ自分も貢献をするという好循環につながっている。日本の大学ではこのレベルのネットワークはないし、欧米でも学部レベルではこのレベルまではないと思う。
もしMBAを学費などコストの面で二の足を踏んでいる人がいたら"Alumni Network"も検討項目に入れて欲しいと思う。人って結局自分の周りの人によって形づくられると思いません?


posted at 11:53 PM : |


December 04, 2004

National Advantage

日本のテクノロジー企業で海外向けの仕事をし日本と海外を行き来する生活をしていると、つくづく自分のキャリアは日本の輸出型企業向けにできていると感じる。
皆さんは「なぜ日本は自動車産業や電機産業がさかんなのか?」とか考えたことはないでしょうか?
当たり前のことだけれど、企業が自分の居場所となる業界・分野を選ぶとき、自国の環境というものが大きく左右する。

再び"Global Managment & Strategy"で学んだフレームワークを使っていろいろ例をあげてみる。
"National Afvantage"(国の競争力)を活かして業界・分野を選ぶとき主に下の4つの条件がある。

□Firm Strategy, Structure, and Rivalry(企業戦略、組織、競合状況)
-日本企業は伝統的に市場シェアを成功の指標とすることが多い
 →株の持ち合いなど「我慢強い」機関投資家が多いため
-Swatchはスイス企業である
 →スイスでは伝統的に時計産業がさかんであった

□Factor Conditions(要素条件)
-ドイツには熟練工の技術を必要とする高級品が多く存在する
 →マイスター制度によって高度な技術を持った職人が多い
-企業は自社で学校や基礎研究所を設立し人を育てる
 →YAMAHAはピアノ調律師を育てるための学校を設立した
-イタリアにはアパレル、靴、家具などの分野で多くの優良企業が存在する
 →イタリアでは業界団体が活発でロジを改良したり処理技術を高めたりということを業界として行っている

□Demand Conditions(需要条件)
-日本の家電企業は小型の電子レンジなどは得意だが大型冷蔵庫は得意ではない
 →日本の住宅事情による
-アメリカのアパレル業界ははスポーツシューズ(Nike, New Balance)、ジーンズ(Levi'sLee)などでは世界ブランドを擁しているがDesigner Clothesではヨーロッパが強い
 →カジュアルウェアを好むアメリカ人の嗜好による

□Related and Supporting Industries(関連業界)
-日本の自動車部品企業は世界クラスである
 →世界クラスの自動車産業の存在による

こうやって見てみるとどの国をベースとするかという"National Advantage"は無視できないとともに、それは"Company Advantage"と同じく未来永劫のものではないなー、と思う。一昔前まで「安かろう悪かろう」で戦後の日本製品のようだった韓国製品、最近その地位の向上は目覚ましい。

特にすでに「一韓国企業」ではなくなってしまったSamsungの急伸には目を見張るばかり。ヨーロッパではすでにちょっと「プレミア」ないブランドイメージだし(Sonyを抜いた感もある)、携帯電話市場での世界シェアは何とMotorolaを抜いてNokiaに次ぐ2位に浮上した。残るは日本市場だけでは?


posted at 4:02 PM : |


December 03, 2004

Time Management

どこまでものせられやすい私が最近凝っているのが「手帳術」。
『ミリオネーゼの手帳術 - 8ケタ稼ぐ女性に学ぶサクサク時間活用法』
『手帳200%活用ブック』
『夢をかなえる人の手帳術』
あたりの本は全部読んでしまった。

『ミリオネーゼの仕事術』の一節に"スケジュールのよいところはメモ欄が少ないところ。単にTo Doリストにあるだけでは永遠に実行しないことも「いつ」を選び書き込むことで実行に近づく"とあったが、その通り。私がいつも持ち歩いている「何でも帳」にも買いたい物、調べたいサイト、読みたい本、がランダムに書きなぐってあるだけでいつしか埋もれてしまっていた。

そして新しくシステム手帳を購入し、やりたいことをとにかくスケジュールに落とし込むようにしている。著者の佐々木かおりさんのようにはうまくいってないけど・・・

INSEAD生活で最も重要なことはずばり"Time Management"だった。1日3コマ(1コマ90分)、ひどい時(?)は4コマの授業、膨大な量のAssignment、Group Work、クラブでやってたTouch Rugby、友達とのディナー、お城でのParty、せっかくだからParisも行きたい、、、体がいくつあっても足りずあんなに睡眠時間が少なかった日々はない。仕事でもあんなに徹夜したことない。
(留学中の生活はコチラ

もちろん"どうやってTime Managementをすればいいか?"などは自分で考えるべきことで、当時の私は半ば毎日パニック状態になりながら授業の時間割をプリントアウトしたものにその他の予定を書き込んでいた。
ラテンな私の友達も(なぜか私はラテン系の友達ばかりできた)「生まれて初めてTo Doリストを作った」などと誇らしげに話していた。

今は正直あの頃より時間的な余裕がある(テレビを見る時間があるなんて!)。そのため余計に自分にプレッシャーかけなきゃなー、と思って新しく買った手帳をそのツールとすることにした。


posted at 7:13 PM : |


December 02, 2004

Explicit, Experiential, & Existential Knowledge

出張で初めてアエロフロートに乗った(モスクワへの直行便はアエロフロートしかないので仕方なく)。

学生バックパッカー時代、アエロフロートにまつわる噂は枚挙に暇がなく(荷物をチェックインすると必ず中を開けられて盗まれるだの、座席がリクライニングせず直立不動だの、離陸と着陸に成功すると乗客が拍手するだの)アエロフロートだけは避けていたので覚悟して乗ったのだけれど、まあ普通に飛ぶ飛行機だった(拍手もなかったし)。

それでも(日本発着便にしては珍しく)乗客のほとんどはロシア人、フライトアテンダントは全員ロシア人(1人日本語をしゃべるスチュワーデスがいて機内アナウンスは彼女がやる)、機内誌は全部ロシア語(英語の機内映画もあったのにその説明もロシア語)、、、
とロシア人が(ロシア人しか)愛してやまない理由がわかる。

そして日本人(ビジネスマン)が愛してやまないJALを思い出した。日本人ビジネスマンのJAL信仰はすごい。その他社より高い運賃(まあ会社が払うのだが)、狭いエコノミーの座席(路線によるけれどビジネスクラス客が増え続けどんどんエコノミーの席が減っているのは気のせい?)にも関わらず平日発着の国際線はほとんど彼ら(←あえて「私」とは区別)で占められている。
なぜ彼らはそんなにJALが好きなのか?

若くてきれいなスチュワーデスだけでもないし(Singapore Airlinesを代表するアジア系エアラインのスチュワーデスも若くてきれい)、マイレージプログラムで囲い込まれているだけでもない(JALよりはスターアライアンスの方が使い勝手がいいと思う)。
もちろん愛国心からでもない(だったらみんな揃いも揃って鞄がTUMIなわけないよなー)。

INSEADの"Global Strategy & Management"のクラスでは企業が多国籍になる時に必要な"Knowledge"(知識)のトランスファーには3つのレベルがあると学んだ。

Explicit Knowledge・・・目に見える形の知識
例:マニュアル、特許、仕様書、ソフトウェア
Experiential Knowledge・・・主観的にではあるがある程度経験によって学べる知識
例:業界標準、技術ノウハウ
Existential Knowledge・・・実際に住み感じることによってしか学べない知識
例:ある種のムーブメント(ドイツにおける環境運動など)、ファッション、アート、音楽

航空会社業界では安全基準も厳しいので(そりゃそうだ)、Explicit Knowledge、Experiential Knowledgeの部分まではある程度どの会社も一定基準はクリアしている(もちろん「ある程度」であり機体のボロさ、サービスの質などは千差万別だけど)。
それでもJALが「ドル箱日本人ビジネスマン層」をつかんで話さず、並みいる他社の日本発着路線より高いプレミア価格をチャージすることができ続けるのは、まさに最もトランスファーが難しいExistential Knowledgeの部分で差別化をはかっているから。

食事の時間に寝ていたらシートに「お休み中だったので食事サービスを遠慮させて頂きました。お目覚めになったらお声をおかけください」シールが貼ってあったり(他社では起こされたり無視されたりさまざまですね・・・)煮物の微妙なだし加減だったり、スナックで出てくるのと同じように蒸したおしぼりだったり(←想像)・・・
(「だったらANAがある路線はANAでいいじゃん」と思うんだけど違うのでしょうか? でも羽田空港新ターミナルはANAに取られてしまいましたね、そりゃそうか・・・)


posted at 1:43 PM : |


             

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