February 20, 2005

Emerging Country

いつも読んでくださってる方にはとても申し訳ないけれど、『キーワードで解くMBA』を今回で最後にします。

理由は書くネタがつきてきた、とかこういうマジメなネタはやっぱりガラじゃない、ということももちろんあるのですが、一番大きな理由はモスクワ生活が思ってたよりもexcitingで、この街の様子を紹介したい気持ちの方が強くなったことです。

日本を発ってちょうど1ヶ月。去年10月に長期出張を命じられた時は「マリンスポーツ好きで思いっきり夏派な私が何でよりによって極寒の、しかもMiddle of Nowhere、見渡す限り山もなくスキーすらできやしないモスクワに・・・」とだいぶブルーになったものでした。INSEADのロシア人も「ロシア人同士で固まってる」という印象でかろうじて仲良かったのはグループメイトだったTatianaくらい。

日本の友達の反応も一貫していいものはなく、ロシアといえば「寒い、危ない、暗い、何考えてるかわからない」、極めつけはある友人の一言、「ふーーん、心理的に遠いなー」。

ところが、、、来てみるとモスクワは好調な経済に支えられて空前の消費ブーム。街は零下10度でも人で溢れ道路は大渋滞、ホテルやアパートも建設が需要に追いつかない状態。私のINSEAD時代の友達は全員語学堪能で高学歴、高収入の外資系企業に勤めていて景気のいい話ばっかり。高校時代に日本が長期不況に陥り新卒の時から就職氷河期と言われてきた私には経験したことのない高揚した街の雰囲気でした。

今まで出張や留学もアメリカとかカナダとかフランスとか経済がとっくに安定してしまった先進国しか行ったことのない私。"Emerging Market"にいるってこんなに感覚が面白いものなんだなー、と感じています。

もちろんロシア語も「こんにちは」と「ありがとう」に毛が生えたくらいしか話せず、ロシア人友達はごくごく一部のエリート層、高級アパートに運転手付きのExpat暮らしをしている私が見ているモスクワは本当のモスクワのほんの一部でしょう。本当のところは『ロシアの虚像と実像』『モスクワ・レポート』などが正しく伝えています。

そんなわけでモスクワ永住を決意した、、、わけはなく、やっぱり1年くらいでいいけれど、ちょっと(かなり)前向きになったので"Moscow Day & Night"というPhotoblog始めました。今度は毎週末私をいろいろなところに連れてってくれるロシア人の友達にも読めるように英語です。ぜひ引き続き読んで感想もらえると嬉しいです。


posted at 11:16 AM : |


February 18, 2005

Devil's Advocate

私の毎日のお仕事は4-8人くらいのロシア人のクライアントとDiscussionをすることなのだが、初めは彼らがおとなしく、ちっとも議論にならないので驚いた。欧米の会社と比べると、伝統的に「命令→実行」という思考で働いている彼らには"brainstorming"という概念が馴染まないのか、と結構頭を悩ませたもの。プラスどちらかというと人見知りする国民性(ラテンな人たちに比べて、だが)も影響しているのだろう。

そこに途中からアメリカ滞在歴が長く10年ぶりくらいにロシアに帰ってきた人が新しく雇われてチームに入ってきた。デカイ声、デカイ態度、人の話をさえぎる、聞いてない、いちいち質問・コメントするのでちっとも話が前に進まない。私はINSEAD留学前、アメリカ担当でこの手のアメリカ人に本当に辟易していたので、「またか・・・」とブルーになっていた。でもそんな彼が参加して1週間、彼はDevil's Advocateをしているのだ、と気づいた。

Devil's Advocateは直訳すると「悪魔の代弁者」、意味は故意に反対の立場を取る人のことで、アメリカではディベートの授業などで議論を活性化させるためにわざわざDevil's Advocate役を決めてあげ足取りをさせることがある。INSEADでもたしかOrganizational Behaviorのクラスで議論を活性化するツールのひとつとして習った。

プレゼンをしたりDiscussionのモデレーターをしている私にとっては初めはうっとおしくてたまらなかったが、最近Discussionっぽくなってきたのである。彼も別に本気で反対しようとしているわけではなく、彼が指摘or質問し私が説明することで一方的に話しているだけでは出てこない論点も洗い出されてきた。「あうんの呼吸」や「事前の根回し」「飲みニュケーション」とは対極にあるこのやり方、文化の違いだなー、と思います。


posted at 3:22 AM : |


February 17, 2005

Due Diligence

INSEAD時代の私のHousemateでフランス人、元Private EquityのJean-Christopheが連発していた言葉。

英語を直訳すると「不断の努力」「相当の入念さ」といった意味だけど、専門用語で「資産評価手続き」のことを指し、物件や企業の買収を行なう際に、その資産価値や収益力、リスクを詳細に調査することをいう。調査項目は対象不動産の「物的調査」、権利関係・契約関係の「法律的調査」、立地条件や取引事例等の「マーケット調査」、収支実績や税金等の「財務的調査」等にな る。

私のHousemateの場合は買収対象企業の精査をするのが仕事のアナリストだったため、Due Diligenceを行うのが仕事だったわけだが、意味を拡大させて(ジョークで)「あの女の子のDue Diligenceの結果・・・」などと使っていた。


posted at 6:39 PM : |


February 16, 2005

Option

株やってる人、けっこういると思うのですが、オプション取引やってる個人ってどれくらいいるんでしょう???
INSEADに行く前、私は「デリバティブ」の意味も「オプション」の意味もよく知らなかった。今も人に解説できるほどでは全然ないんだけど、復習も兼ねてとりあえず基本だけトライ。

オプション取引とは一定期間内に、一定量の金融資産をあらかじめ決められた価格で買う権利、あるいは売る権利を売買する取引のこと。ここで重要なのは「権利」であり「義務」ではないということ。買う権利をCall Option、売る権利をPut Optionと呼ぶ。そして買うことを"Long"、売ることを"Short"と呼ぶ。何で???って聞かれてもわからない。覚えるしかない。

金融資産のことを"Underlying Asset"、あらかじめ決められた価格のことを"Strike Price"、期限のことを"Maturity"、オプションを買ったり売ったりするときにかかるコストのことを"Premium"と呼ぶ。

例えばBPの株 100株を3ヶ月後に6ポンドで買えるオプションを0.5ポンドで買ったとしよう。この場合のProfit Payoffは下の図のようになる。
Profit from bought call option: option price £0.50, strike price £6.00

3ヶ月後株価が6ポンドより低ければ時価で買えばいいわけでこのオプションの権利を行使する意味がないので、オプションは紙くずに。損はオプション購入価格の0.5ポンド。もし株価が6ポンドより高ければ6ポンドで買ってすぐ売れば得をするので利益は"その時の株価-オプション購入価格"となる。

次にPut Optionの例。同じようにBPの株を100株、3ヶ月後に6ポンドで売るオプションを0.3ポンドで買ったとする。
Profit from bought put option: option price £0.30, strike price £6.00

3ヶ月後株価が6ポンドを下回っていれば100株時価で購入しすぐにオプションを行使して6ポンドで売ればいいので、利益は"6-その時の株価-オプション購入価格"。6ポンドを上回っていれば6ポンドで売れる権利を持っていても何の意味もないのでオプションは行使せず損はオプション購入価格の0.3ポンドのみ。

とりあえず、ものすごーく基本的なところだけ解説してみました。
現在日本では、日経平均オプション、日経300オプション、TOPIXオプション、オプション25などがあり、それぞれの株価インデックスに連動している。


posted at 7:17 AM : |


February 15, 2005

Social Network

規模の大小こそあれどんな会社にも「組織」というものがあって組織を表した組織表があると思うけど、実際どのくらいの情報が組織表の階層の通りに流れてるんだろうか? 10月8日のBlogで取り上げた"Congruence Approach"の"Structure"がオフィシャルな組織にあたり、10月7日で取り上げた"Linking"が今回のキーワード"Social Network"にあたる。

Social Networkの分析とは人々の間の(通常は)見えない線・関係を解くことにある。実際に"Corporate Renewal & Entrepreneurship"のクラスでは次のような指標を使って考えてみた。
Activity・・・Susanは6人とdirect linkを持っている"connector"である。
Betweenness・・・Claudiaは3人としかlinkがないが違うグループを結びつける唯一の存在として重要である。
Closeness・・・SarahとStevenは誰に対しても3 link以内のポジションにあるので全体として何が起こっているか見渡すのに最適である。

クラスでは自分のSocial Networkを使うと何人で米ブッシュ大統領にたどりつけるか、という質問もあった。この場合は"International Polytical Analysis"の教授だったPhilip Gordonがクリントン大統領の外交政策アドバイザーをしていたので、わずか1人だったが・・・

このSocial Networkをいかしたインターネット上のサービスが最近人気。日本ではmixiGreeなどが代表的なところ。INSEADではみなLinkedInを使っていて、私のHousemateだったカナダ人のZennonはLinkedIn上で知った人(何と間に8人!つまりほとんど赤の他人)に自分からコンタクトをしてIntel Chinaの仕事をGETしました。自分のSocial Networkを充実させることは今後のテーマでもあります。


posted at 9:35 AM : |


February 14, 2005

Brand Portfolio

Forbes誌によると世界中のどの都市よりもモスクワにはBillionaire(億万長者)が多いらしい。急増するニュー・リッチ層とともに急成長しているのが外食産業。どこの国でもそうであるように経済成長により豊かに、でもより忙しくなった人々は家で料理をするより外で食べることを好むようになった。

私のモスクワの友人たちは間違いなくPost Communismのニュー・リッチ層。モスクワでは東京やパリのように「適当にそのへんのレストランに入ってもひどいハズレはない」というレベルにはまだ程遠く適当に入るとハズレてばっかりなのだが、友人と一緒に行くところは例外なくおいしい(まあアタリにしか連れていかないのだから当たり前だが。もちろん値段もそれなりに高い)。そして今まで行ったレストランのほとんどがArkady Novikovというレストランオーナーの開いたものだということを知った。彼はモスクワでは知らない人がいない超有名人で60以上のレストランチェーンを持つ。Washington Post記事に詳しく出ているので興味のある人は読んでみてください。

すごいのはそのPortfolioの幅広さ。
GALEREA・・・バー・ラウンジ・レストラン。店の外にはベンツやBMWが停まり店員は全身黒のモデルのよう。店内にはモデルの写真が飾ってある。客層はファッションやスタイルを見せびらかすために来る若い女性、お金を持っているビジネスマン、単に『モスクワ一スタイリッシュなレストラン』が見たくて来てる普通の人。
VOGUE CAFE・・・GALEREAと同じくスタイリッシュなカフェレストラン。
Beloe Solntse Pustyni・・・ウズベキスタン、タジキスタン地方の料理を主とした高級レストラン。店内もオリエンタルな雰囲気。
Market・・・魚や野菜など新鮮な材料を自分で選び調理してもらうテーマ・レストラン。
CANTINETTA ANTINORI・・・高級イタリアン。フィレンツェ、チューリッヒ、ウィーン、モスクワと世界に4店、本格な味がウリ。
Tsarskaya Okhota・・・モスクワ郊外にある皇帝の狩猟小屋をイメージしたレストラン。
Yolki-Palki・・・ロシア料理のチェーン。サラダバーなどビュッフェが人気で中流階級向け。

日本で類似するブランドで思いつくのはひらまつくらいだけど規模、Portfolioの幅広さともに比較にならないくらい小さい。

High-endのブランドとマス向けのブランドを持つのは難しい芸当なのだがArkady Novikovの場合、彼自身がブランドになっているので人々は新しいレストランがオープンするたびにこぞって食べに行く。話題性ばかりではない。料理学校を卒業した経歴を持ち「ロシア人においしいモッツァレラチーズとおいしくないモッツァレラチーズの違いだけでなく、おいしいモッツァレラとものすごくおいしいモッツァレラチーズの違いを教えた」と自負するだけあって、彼のレストランの料理はやはりおいしい(といっても東京で普通においしいレベル)。今写真を撮りためているので、もう少したったらGallery上で紹介します。


posted at 10:47 PM : |


February 13, 2005

Willingness to Pay

モスクワに引っ越してきて3週間、普段は家のすぐ横のスーパーで食料品を買うのだが、休みのときはSTOCKMANNというフィンランド系の高級スーパーに行ったりする。ここは日本でいう明治屋紀伊国屋成城石井のようなところで欧米ブランドのものはほとんど何でも手に入るのでモスクワ在住欧米人が多い。

私にとっては品物がロシア語と英語で表示してあるのが助かる。ロシア語表示だとヨーグルトなのかサワークリームなのかフロマージュブランなのかさっぱりわからないし、洗剤の種類もたくさんあって何だかよくわからない。
そしてやっぱり知っているブランドは安心する。初めてスーパーに行ったとき、子供が牛乳を飲んでいる何ともレトロとしかいいようのないデザインに惹かれて右の写真のミルクを買ったのだけれど、ちゃんと牛の絵が描いてあるくせしてとても牛乳とは思えない味だった。失礼ながらあんなまずい牛乳を飲んだことはいまだかつてない。この一件以来多くの欧米人と同じくDANNONKellogg'sについ手が伸びてしまう。

当然のことながら欧米ブランドは高い。今日買ったSCHNEEKOPPEというドイツの健康食品ブランドのミューズリーなんか800円もした。野菜もなぜかものすごく高い。それでも買ってしまうのは「ここで買えば安心だ」という安心感とわざわざ車で来ているということ(モスクワは車がないと移動できないので普段通勤のため雇っているドライバーがたまに土曜日も働いてくれる)で財布の紐がゆるくなっているから。

INSEADのIndustry & Competitive Analysisのクラスでこの「財布の紐」のことを"Willingness to Pay"といった。文字通り「払う気」で10月22日のBlogで取り上げたPrice Leadershipはいかに顧客の"Willingness to Pay"をあげるか、でもある。
言葉が通じず日本と同じ品質のものがリーズナブルな価格で手に入らないモスクワでは仕方なしに私の"Willingness to Pay"も高くなってしまう。


posted at 12:16 AM : |


February 11, 2005

Lifestyle Marketing

12月17日のBlogで市場のセグメンテーションの話題を出したが、仕事でLifestyle Marketingに関わっている。Lifestyle Marketingとは人々の行動や興味、意見などに現れるライフスタイルそのものでセグメント分けしようとするもので、消費者の信条や価値観を現していると言われている。ライフスタイルは異なる文化間では大きく異なり、そこがまた面白いところでいくつか有名なものを紹介します(以下、Philip Kotlerの"A Framework for Marketing Management"より)。

□アメリカ
SRI InternationalのValues and Lifestyles(VALS)というフレームワークが有名。米国市民を心理行動学的に以下の8つのグループに分けるもの。
Innovators・・・成功し洗練されていて行動的な自尊心の高い人々。高級なニッチ商品にこだわりを見せる。
Thinkers・・・成熟し満足し思慮深い人々。耐性と機能性のある商品を好む。
Achievers・・・成功したキャリア志向の人々。評判が確立されたステイタスのある商品を好む。
Experiencers・・・若く熱心で衝動的、反抗的な人々。収入の多くを服、ファーストフード、娯楽に費やす。
Believers・・・保守的で伝統的な人々。昔からあるよく知っているブランドを好む。
Strivers・・・不安定で他人に認めて欲しいという願望が強くあまり裕福でない人々。裕福な人々の持ち物をまねたスタイリッシュなデザインの商品を好む。
Makers・・・実利的、伝統的、家族志向で自己表現が好きな人々。DIY用品や釣り道具といった実用的、機能的な商品を好む。
Survivors・・・老いて受身で裕福ではない人々。安心や安全を重視し長年慣れしたんだブランドにロイヤリティが高い。

□イギリス
McCann-Erickson Londonはイギリス人のライフスタイルをAvant-Gardians(変化を好む)、Pontificators(伝統的)、Chameleons(集団に追従する)、Sleepwalkers(さえない現状に満足している)に分けた。

□ロシア
D'Arcy Masius Benton & Bowlesはロシアの消費者をMerchants、Cossacks、Students、Business Executives、Russian Soulsの5タイプに分けた。92年の分類なので今はだいぶ消費者のライフスタイルも変わってる、とモスクワ見てる限りは思うけど・・・

日本でも何かないかと探してみたら日経リサーチでこんなものを見つけた(→ライフスタイル調査のご案内
家電ライフスタイルでは「健康志向」「ファッション志向」「環境志向」「衛生志向」「協働志向」に分けられている。デジタルライフスタイルでは「エンターテイメント志向」「コンビニエンス志向」「クリエイティブ志向」「ネットワークコミュニケーション志向」「リアルコミュニケーション志向」。
皆さんはどれです?
私は家電→「ファッション志向」、デジタル→「コンビニエンス」&「リアルコミュニケーション」かなー?


posted at 11:03 AM : |


February 08, 2005

One-to-One Marketing

Googleの勢いが止まらない。とりわけオンライン広告事業の国際展開が好調でそのスピードは「ローカルスタッフを雇い銀行口座を開いて広告収入の回収をする」のと同じスピードだという。
2004年Q4の米国外での収入はUS$361mil.に上り前年比135%の伸びだという。
Googleのオンライン広告とは検索する語句によって関連のある広告が表示されるGoogle Adsenseのこと。最近では個人のBlogでもAdsenseのバナーをよく見かける。Blogの内容に合わせた広告が表示されるので(Blogの著者がキーワードを登録する方式)One-to-Oneとはいかないまでもある程度ターゲットが絞られているのが広告主にとっては最大の利点(企業側はGoogle Adwordsというプログラムでテキスト広告枠をめぐって入札する)。

インターネットの登場とともにMass Marketingに対してOn-to-One Marketingという言葉を頻繁に聞くようになった。"The One to One Future: Building Relationships One Customer at a Time (One to One)"
によるとMass MarketingとOne-to-One Marketingの比較は次のような言葉で表されている。

Average customer <--> Individual customer
Customer anonymity <--> Customer Profile
Standard product <--> Customized market offering
Mass production <--> Customized production
Mass distribution <--> Individualized distribution
Mass advertising <--> Individualized message
Mass promotion <--> Individualized incentives
One-way message <--> Two-way messages
Economies of scale <--> Economies of scope
Share of market <--> Share of customer
All customers <--> Profitable customers
Customer attraction <--> Customer retention

GoogleはAdsense以外にもニュース収集のプロセスを完全に自動化したGoogle News、商品検索サイトFroogle、無料WebメールサービスGmailなどのサービスをトライアルで始めている。最近は訴訟づいているけど、これも急成長企業の常なんでしょうか。


posted at 9:33 PM : |


February 07, 2005

Database Marketing

こんなところで恥をさらすことでもないが、パリの地下鉄駅で財布をすられた、目を離したわずか2,3秒の出来事。さすがプロ・・・
それはともかくクレジットカード3枚、キャッシュカード3枚、オンラインバンキングのカード2枚、その他マイレージカードなどあらゆるカード類が入っていたので、1時間半日本の緊急コールセンターに電話をかけ続けた。

以前バックパッカーだった頃は念を入れて腹巻と財布を分けたりカード番号やコールセンターの番号を控えた旅行ノートを作ったりしていたのだが出張で海外を飛び回るようになってからは気が緩み何も控えていない。カード番号もわからないので名前、住所などなどを元に延々と住所確認が始まる。クレジットカードでは最後に使用したのはいつでどこか、銀行キャッシュカードではおおよその残高も聞かれ、オペレーターの見ているPC画面には私の行動すべてが映っているような気がしてちょっと寒くなった。

顧客データベースをマーケティングに活かすのは当たり前になった。
一般的にデータベースを次のように利用することが考えられる。
(1)利益を生む顧客を特定する
(2)特定顧客に売り込む特定商品をマッチさせる
(3)顧客の嗜好を把握しお得情報を提供することで顧客のLoyaltyを高める。
(4)Reminderやタイムリーなプロモーションを行うことによって顧客を購買活動へ導く
(5)顧客に2度同じ商品を違う価格でオファーするなどといったミスを防ぐ

ただしCRMにデータベースを効果的に使えない企業は多い。理由として
(1)コンピューターのハードウェア、ソフトウェア、分析ツール、通信回線、従業員トレーニングなど巨額の投資が必要であり、適切なデータを顧客から得られないことも多い。
よって多くの顧客にとって一生に一度の買い物だったり(e.g.グランドピアノ)、単価が非常に安いもの(e.g.ガム、キャンディー)は投資効果が見込めない。
(2)全社的に顧客志向を浸透させることが難しい。
(3)企業が個人データを集め蓄積することに抵抗感を示す顧客も多いのでプライバシーとセキュリティーには相応の配慮が必要。

昔の電話番号を忘れていても本人確認をあらゆるデータから行い、迅速にカード停止手続きが取られたことをありがたく思いながら、私のすべてのMoney Transactionを把握されている事実にもう少しSensitiveにいようと思ったのでした。


posted at 5:51 PM : |


             

キーワードで解くMBA